子どもに絵本を読むのは、なぜ良いのか?
お子さんがいるご家庭では、絵本を読むのは日常ですよね。
親子のふれあいの時間に、おやすみ前の入眠儀式に。
絵本と子育ては深く結びついています。
私も絵本作家として、お子さんとお家の方、保育に携わる方の心に寄り添った絵本を作りたいといつも願っています。
しかし、意外と「ではなぜ絵本はいいのか」という根本的なことはあまり考えたことがありませんでした。
子供の頃から絵本が好きで、その延長でこの仕事をしているので、「なぜ良いか」と考える余地もなく良いイメージしかなかったからです。
それを改めて考えるきっかけになったのは、次女の小学校入学の際、校長先生がおっしゃった言葉です。
校長先生は、
「非認知能力を育むため、絵本を読むことが見直されてきている。教育の場で絵本が改めて重要視されているので、お家の方も絵本を活用してほしい」
という内容のお話をされたのです。
このことから、「非認知能力」とは何か、絵本と非認知能力の関係について興味が湧き、調べてみました。
キーワードの「非認知能力」とは何か
非認知能力とは、一言で言うと、「私たちが日常生活を健やかに送るための心の基盤」なのだそうです。
自分を大切にし、もっと向上していこうと思えるなど、自分の内面への心の働きかけや、他の人と良い関係を築く力など、社会性に関わるところに分けられるそうです。
非認知能力の要素とは
非認知能力をもう少し細かい要素で見ていくと、10個のカテゴリーに分けられるとのこと。
- 自尊心
- 知的好奇心
- 自己効力感
- 忍耐力
- レジリエンス
- セルフコントロール
- 感情知性
- 共感性
- 規範意識
- 協調性
自分のことを好きと思える心、困難な状況でも心を立て直していく心、相手の気持ちになって理解する心など、生活していく上で、そして心の健康を保つ上で大切な力です。
絵本を読むとなぜ非認知能力が育まれるのか
ではなぜ絵本で非認知能力が育まれるのでしょうか。
それは、絵本が読み手と聞き手との関係性を持つものだからだそうです。
子どもははじめは周りの人から絵本を読んでもらいます。一緒に絵本の世界に触れ、共通の話題として言葉を交わすことで、周りの人との絆を深めたり、色々な知識を効果的に学ぶことができるとのこと。
また、絵本の豊かな世界に触れることで、自由な発想や想像力が育まれるとのことです。これは子育て中の身としては実感として感じますね。
まとめ
絵本は子どもが育つ上で、周りの人とのコミュニケーションツールとしての役割も果たすことから、非認知能力を育てる力を持っていることがわかりました。学校教育の場でも、絵本の持つ力が見直されてきているようです。
私自身は子供の頃から絵本が好きだったので、「なぜ良いのか」と言うことを考えてもみませんでした。
むしろ、少し前までは、「何かの効果を期待して絵本を読むのって、純粋に絵本を楽しむのとは違うんじゃない?」なんて思っていました。
でも、今回調べてみて、なぜ絵本が子供の頃から好きだったのかをむしろ振り返ることができました。
私自身はとても内向的な子供だったので、絵本の世界からたくさんのことを学び、想像を膨らませることで内面を豊かに育てていたのです。だから、あんなに絵本が好きだったんだなと気づくことができました。
絵本は心の喜びや知識を与えてくれるだけでなく、周りの人との温かい思い出を作ってくれるものでもあります。
私自身の絵本の思い出も、寝る前に母が読んでくれたことや、娘に読み聞かせしたことなど、幸せな気持ちを蘇らせてくれるものばかりです。
もちろん、自分で読むのも素敵な思い出になっています。ワクワクしながらページをめくる、かけがえのない懐かしい記憶になっています。
そういった記憶や思い出の数々が、人への信頼感や、人生は楽しいものだという気持ちなど、安心感につながっているのだなと思うと、絵本の持つ大きな力を再確認しました。
絵本は子供のものと思われがちかもしれませんが、大人の方でももちろん楽しむことができます。
大人になってから子供のころに読んだ絵本を読むと、また違う印象で立ち上がってくることもあります。
その意味で、絵本は子供のためだけにとどまらず、大人にとっても非認知能力や心の豊かさ、安心感を育んでくれるものなのだと思います。
子育て中の方も、そうでない方も、ぜひ絵本を生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。

