絵本の主人公をどう設定するか。

この記事では、絵本の主人公をどうやって設定するかについてまとめています。
性格設定や、キャラクター同士のバランスの取り方などについて、私なりの方法をご紹介します。

目次

主人公設定のポイントは「好きになれる存在にすること」

絵本の主人公として、こどもや動物が代表的なのではないかと思います。おばあさんやおじいさんもよく主人公として登場します。いずれにしても、「主人公は読み手の子どもに好かれる存在にする」ということがポイントです。おじいさんやおばあさんが絵本に多く登場するのも、子どもとおじいさんおばあさんと言うのは一般的に相性が良い存在だから、と言うことになるのかもしれません。

ただし、人間を主人公にした場合、色々な主義主張の制約を受ける可能性がある、と『絵本の書き方』(エレン・E・M・ロバーツ)では述べられています。
その場合、動物を主人公にすることでその問題を回避できると同書には書かれています。
誰もが知っている動物を主人公にすることで、普遍的なメッセージを伝えることもできます。ブルーナの『ちいさいうさこちゃん』が国を超えて世界中のこどもたちを喜ばせているのもそれが理由だと、以前ドキュメンタリー番組で放送されていました。

主人公設定のタイミング

さて次は、主人公設定のタイミングについてです。
絵本のアイデアをどうやって得るかについては前回の記事で書きました。このアイデア段階で主人公が自然に決まる場合もあれば、ストーリーの核となるエピソードを先に思いついて、後から主人公設定がきまる場合もあります。

作絵の絵本か、絵担当の絵本かによっても変わってきます。
作絵であれば前述のパターンとなりますが、絵担当の絵本の場合、主人公設定はテキストの作家さんの方で決まっていますので、その設定をどうやって絵として表現するかが焦点となります。

さて、ここで具体的な主人公設定として、コンテスト受賞作『おかあさんはしっぱいめいじん』という作品を例にご紹介します。

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こちらはお話の核となるエピソードを先に思いついたパターンでした。
私の母のエピソードをもとに、母と子の心温まるストーリーとして描きたいなというところが出発点で、そのあと主人公像を設定していきました。

この作品では、なつみちゃん(なっちゃん)という女の子が主人公です。なっちゃんは8歳で、癖っ毛のショートカットで、さっぱりした性格の女の子です。なっちゃんの設定は当初はこのようなものではなく、もっとおっとりとしたタイプの女の子をイメージしていましたが、もう1人の主人公であるお母さんの設定が決まっていくに従って、このような形に固まっていきました。

制作メモを振り返ると、最初の段階は豪快で細かいことは気にしないお母さん像を描いたりしていました。それが最終的には、ちょっと気が弱くて、あまり器用でなく、何事も一生懸命にがんばるけれど失敗してばかりのお母さんに変わりました。
お母さんがこのように変わって行った理由は、先に述べたキャラクター設定のときのポイント「そのキャラクターを好きになれるか?」が関係しています。

主人公やキャラクターの設定で、初期の段階で自分に問いかける事は、「そのキャラクターを好きになれるかどうか」です。私が今まで読んだ、物語作りに関する本に共通して書いてある事は、「主人公は読み手が好きになれる、応援したくなる存在であることが大切だ」ということです。考えてみれば当たり前の話で、キャラクターに好感が持てなければ、そのキャラクターにおこる様々な出来事にもあまり心動かされないでしょう。

では、好きになれる存在と言うのはどういうものなのでしょうか。

私の場合好きになれる存在と言うのは、自分にも重なる部分があること、そういうことってあるよねと共感できる部分があることです。

そういう意味で、この物語のお母さん設定は、豪快で快活なお母さんから、一生懸命頑張っているけど、失敗ばかりで自分でもそれを気にしているお母さんと言う設定に変わっていきました。私自身がそういった主人公の方が共感する部分が多いからです。まず自分が最初の読み手になってみて、好ましい存在を探っていくという形です。

お母さん像がこのように変化したことで、なっちゃんの人間像も変わっていきました。
最初はおっとりした女の子のイメージでしたが、失敗して落ち込んでばかりのお母さんを元気に励ます、頼もしい女の子のイメージに変わっていきました。

作家からしてみると、主人公が好きになれるかどうかは、その物語を書き上げられるかに関わってきます。エネルギーを注ぎ込んで作るわけですから、自分が好きな主人公でなければ、到底最後まで書き上げることができません。
読読手に取っては、もちろん、何より作家にとって、主人公設定は大切なものなのではないかと思います。

まとめ

主人公は読み手が好きになれる存在として設定する必要があります。こども、動物など、色々なキャラクターが主人公候補として考えられます。動物などを主人公に設定することで、普遍的なメッセージを伝えることもできます。

主人公設定のタイミングは作家さんによって様々かと思います。キャラクター同士のバランスを見て、性格の微調整を行ったりします。

もちろん、ここで書いたことは私のやり方ですので、他にもたくさんの方法があることと思います。
先の作品では、自分と重なる部分がある主人公を設定する方法を取りましたが、自分とは全く違うタイプの主人公を描くチャレンジもしてみたいなと思います。
絵本作りに関わる方に何かのご参考になればと思います。

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簡単に自己紹介♪

絵本作家・イラストレーター。
絵描きになりたいと夢見つつも、「どうせ自分には無理だ」とやる前から諦めていた子ども時代。
出産後、産後うつになったことをきっかけに、背水の陣で絵本や童話を描き始める。
我が子をおんぶしながら描いた作品で絵本の賞を受賞してから、絵本作家として活動を始める。
「自分も地球も自然体な暮らし」をモットーに、農あるくらしと作家業を楽しみつつ、自給自足的生活を目指して邁進中。


【受賞歴】
第1回子育て絵本大賞にて、アイデア部門優秀賞を受賞
https://www.gentosha-book.com/book/
【出版絵本】
『モンテッソーリの生活絵本シリーズ』全5冊 挿絵担当
https://montessoriehon.net/
『おばあちゃんのあおいバラ』挿絵担当
https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/2900571.html

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